ブルーノート東京ってところに行ってきました

# 次の日に書いています。

某打ち上げで誘っていただいて,南青山の「BLUE NOTE TOKYO」というところ*1にいってきた。ジャズのクラブで有名なところだそうだ。いやジャズとかズージャーとかズージャーでヤノピーでとか全然わからんのだが,おいしい食事とレベルの高い生演奏でハッピー。

こういうところがそう遠くない場所にあると思うと,東京悪くない。以下長ったらしい感想文。


バンドの構成はドラム,ギター,ウッドベースにピアノ+ボーカル。ピアノ+ボーカルは,DIANE SCHUURさんという人らしい。グラミー獲っているそうな。正直知らなかった。すいません。で,みんな,ものすごくうまい。最初の4小節でびびった。次の4小節で感動した。いや,私のヘボいウクレレ演奏が基準なだけに,プロにそんなこというのは失礼かと思うが,本当にびびった。おそれいった。

smoking, drinking, never thinking tomorrow〜♪

その最初の8小節で感動したのはピッチとリズム。ものすごくちゃんとしている。いやあったりまえなんだけど,ちゃんとしているのレベルが違う。超ぴったりで超ノリがよくて,超ピッチどんぴしゃ。生演奏でバンドでフレットがない楽器もあるのにこんなことできるんだってびっくり。

まずリズム。ぜんぜん揺れない。ジャズなので曲が進むにつれ,シンコペとか3連とか,もうよくわかんないのとか,いろいろ複雑なことが次々に訪れるのだが,ぜんぜん揺れないうえにぴったり。で,音の粒がそろっている。例えば,タンタンタタタって3連が最後にきつつクレッシェンドみたいなパターン。完璧に1音1音が美しいまま,音量がリニアに増えていく。ドラムもギターもベースもそう。いやすげー。

次にピッチ。ウクレレの開放弦な音*2が来ると私の耳はそれを判定できた。その後,なにか鳴るたびにどの音か見えてくる。1弦7フレとか。で,それらの音がいちいち心地よい。コード進行はジャズゆえか複雑で,すぐに私の脳内音楽パーサは全体的には追従できなってしまう。でもメロやオカズは追えて,そして音符の一つひとつはいちいちキレイで,心地よさは続く。これにウクレレ音域以外の音が美しく重なっていく。これらの音の一つひとつが音楽として再構成される私の脳内には,心地よいを引き起こす物質がダラダラと流れ出す。

私はひたすら,にやけていた。ニヤニヤ。

a good life to be free〜♪

脳内物質ダラダラ状態のまま,プレイヤの手元をみながら音符を追いかけ続ける。残念ながらギターさんは譜面台にケラれて左手は見えなかったのだが,ギターさんの右手と,ベースさんの両手はよく見えた。手が美しく動く。動くと美しい音がでる。シンプルでプリミティブで素敵なのである。脳内には心地よい物質が流れ続けている。

曲の合間に残ったビールを一口飲むと,一瞬我に返り,音がとてもいいことに気づいた。すごくよい。アリーナ? のほぼ中央の席だったというのもよかったかもだけど。PA通っているなんてほとんど感じずに上質な生音を大きめの音で聞いている気分。いちばん違うと思ったのはダイナミック・レンジの広さ。一番でかい音はスネア一発,一番小さい音はブラシでスネアなでるような音と記憶しているが,全部クリアー。

その広いダイナミックレンジを,ギターやらドラムやらベースやら,全員がきっちり使いこなしている。近隣の気にし具合と,その日のメンタルなどで音量が変わる私は反省した。せめて狙った同じ音量で弾けるようになりたい。あと,レベルが低くなるにつれてS/Nが悪くなる“装置”でばっかり音楽聞いてちゃダメだとか,コンプがよく効いた音源ばっかり効いていちゃダメだって思った*3

Blue Note Tokyo〜♪

いい音に気づいてから,その音に集中したくなり,途中から目を閉じて聞くことにする。と,これまで感じていたよい印象がすべて増幅されて,脳みそにダイレクト・プラグな感じで飛びこんできた。脳内物質はさらにダラダラだ。「あっ,いまのベース素敵」なんて思った瞬間,思わず目を開けてステージのベーシストを見る。するとベーシストさんはドラマーさんとにこやかに目線を交わしている。うらやましい。超うらやましい。

ボーカルとピアノのDIANEさんも極めて素敵であった。本当に楽しげにプレイする。いやあんだけ弾けて歌えたらそりゃ楽しかろうと思うが,それがすげー高いレベルのところで。うらやましい。英語のMCも楽しい。短いお話なうえに,私の英語力では理解度70%くらいだったが,すっきりした発音で楽しめた。ボーカルの単語もよく拾えて,それもうれしかったりした。

まとめ

正直,これでジャズに興味がでてきました! とか, ウクレレ捨ててウッドベース始めます!とか,そういうことはない。自分のウクレレがあのレベルに達することも,たぶん一生ないだろう。

でも,音楽は,私の想像以上に楽しいもので,これまでの経験以上に素晴らしいものであると知った。生きていて,こんな素晴らしい時間が流れる瞬間というのはそう多くない。でも何度かある*4。この土曜日の夜は,そんな一つであった。

と,書いていて,運転するようになってからレースを見ると,よりおもしろさがわかるように,楽器をやるようになってから生演奏を見ると,よりおもしろさがわかる,とか,そういう話のような気もしてきた。そうかもしれん。

演奏していただいたDIANEさんとそのバンドさんにありがとうを。これからもよい演奏でだれかを楽しませてほしいと強く想う。ブルーノート東京さんのホスピタリティーにも感謝。20年やってるそうだが,もう20年くらいやってほしい。少なくとも私が死ぬまでは営業していてほしい。

さそってくれたMさんにも大きな感謝を。

たぶんまた行きます。

*1:http://www.bluenote.co.jp/

*2:G, C, E, A

*3:ジャズマニアが高級オーディオにはまる気持ちが少しわかる

*4:例えばF1生観戦のスタートの瞬間とか